法定相続情報一覧図の書き方と見本|基本ルールと記載例
相続手続きを進める中で、「法定相続情報証明制度」を利用するために欠かせないのが「法定相続情報一覧図」の作成です。
亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本など、必要な書類が集まったら、次はいよいよ一覧図を作成する段階に入ります。
法務局が公表している様式・記載例には、用紙や記載事項について確認すべきポイントがあります。自分で作成しようとする場合、「どの用紙を使えばよいのか」「続柄はどのように書くのか」「住所は書く必要があるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。
法務局では、ケースに応じた公式の様式や記載例を公開しており、基本ルールを押さえておけば、自身で一覧図を作成して法務局へ申し出ることが可能です。
本記事では、法定相続情報一覧図の基本的な書き方、記載項目(必須項目と任意項目)、続柄や住所の書き方のルール、代表的なケース別の記載例、そして作成時に確認したいポイントを整理して解説します。
制度全体の概要や手続きの流れをまず把握したい方は、「法定相続情報一覧図とは?制度全体と手続きの流れ」をご覧ください。
戸籍謄本の集め方や必要書類の詳細は、「法定相続情報一覧図の必要書類と戸籍の集め方」で詳しく解説しています。
1. 法定相続情報一覧図を書く前に確認すること
一覧図の作成用紙に向かう前に、まずは手元に必要な情報と公的資料が揃っているかを確認します。
必要な戸籍謄本等をそろえてから作成する
法定相続情報一覧図は、集めた戸籍謄本等をもとに、法律上の相続関係を一覧に書き起こす書類です。そのため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や、相続人全員の現在の戸籍謄本が揃っていなければ、正確な記載内容を確定することができません。
まずは必要な戸籍謄本等をすべて収集し、誰が法定相続人であるかを確定させた上で、図の作成に進むことが大切です。戸籍収集の具体的な手順や注意点については、「法定相続情報一覧図の必要書類と戸籍の集め方」をご確認ください。
法務局の公式様式・記載例を確認する
法務局のウェブサイトでは、「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」として、さまざまな家族構成に応じた見本(ひな形)がPDFやWord形式で公開されています。「見本を確認したい」「どのような配置になるのか完成形を見たい」という方は、まずこの法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」を確認することをおすすめします。法務局が示している標準的なレイアウトに沿って作成することが、手続きを円滑に進めるための基本となります。
2. 法定相続情報一覧図の基本的な書き方
法定相続情報一覧図を作成する際は、用紙の規格や記載位置に関する一定のルールを守る必要があります。
A4縦の用紙を使用する
一覧図は、A4サイズの用紙を使用します。用紙の向きは「縦」で使用することが基本ルールとなっています。また、法務局において長期にわたり保存される公的書類であるため、紙質は長期保存することができる丈夫なものを使用し、用紙の裏面は使用せず片面のみを使用します。
下部約5cmは認証文のため空ける
一覧図の用紙の下部(下から約5cmの範囲)には、文字や罫線を可能な限り記載しないようにします。このスペースは、法務局が一覧図の内容を確認した後に認証文を付すために使用されます。下部余白が不足していると認証文を適正に付記できなくなるおそれがあるため、あらかじめ下部に十分な余白を確保しておく必要があります。
作成日・作成者を記載する
一覧図の末尾には、この図を作成した年月日、作成者の住所、作成者の氏名を記載します。法務局の公式記載例では、「令和○年○月○日 作成」「作成者 住所:○○ 氏名:○○」といった形式で記載するよう示されています。
3. 一覧図に記載する項目(必須と任意)
法定相続情報一覧図には、記載すべき基本的な項目と、申出人の判断で記載を選択できる任意項目があります。
被相続人の情報
亡くなった方については、以下の事項を記載します。
- 氏名
- 生年月日
- 死亡年月日
- 最後の住所
- 最後の本籍(原則任意)
被相続人の最後の住所については、住民票の除票又は戸籍の附票により確認して記載します。
相続人の情報
相続人となる方々については、以下の事項を記載します。
- 氏名
- 生年月日
- 続柄
- 住所(任意)
各相続人の生年月日や続柄は、戸籍謄本等の記載に基づいて転記します。
相続人の住所を記載する場合と記載しない場合
相続人の「住所」を一覧図に記載するかどうかは、申出人の任意とされています。
住所を記載する場合:
住民票の写し等(住民票記載事項証明書等)にあるとおり記載し、その住所を証する書面を提出します。一覧図に住所が記載されている場合、その一覧図の写しを使って不動産の相続登記を行う際に、住所を証する情報の提供を省略できる取扱いがあります。
住所を記載しない場合:
一覧図には氏名・生年月日・続柄のみを記載します。この場合、申出時にその相続人の住所を証する書面の提出は不要ですが、後日の相続登記等の手続きにおいて別途住所証明情報の提出が必要となる場合があります。
被相続人の最後の本籍の取扱い
被相続人の最後の本籍の記載は原則として任意です。
ただし、住民票の除票等が市区町村で廃棄されている場合は、最後の住所の記載に代えて最後の本籍を記載する取扱いがあります。このような特別な事情がある場合を除き、通常は最後の住所を記載して作成します。
4. 続柄は「子」「長男」「長女」のどれを書く?
相続人の「続柄」の記載方法については、法務局の制度案内において取り扱いが示されています。
「子」と記載することもできる
現行の制度上、被相続人の子どもについては「子」、配偶者については「配偶者」と記載して申し出ることも可能です。戸籍上は長男や長女と記載されていても、一覧図上を「子」と表記して作成することは制度上差し支えありません。
相続税申告等で利用する場合の注意点
ただし、続柄の表記によって利用範囲に留意が必要です。単に「子」とだけ記載された一覧図の写しは、相続税の申告手続き等において利用できない場合があります。
一方、戸籍に記載される続柄(「長男」「二男」「長女」「養子」など)を記載することで、原則として相続税申告書の添付書類として利用できると案内されています。相続税申告で利用する予定がある場合は、この取扱いを確認した上で続柄の記載方法を選択してください。
5. 代表的なケース別の記載例
法務局では、代表的な家族構成に応じた公式の様式・記載例を公開しています。
ケース1:配偶者と子が相続人の場合
配偶者と子が相続人になる基本的なケースについては、法務局が公式の様式・記載例を公開しています。被相続人、配偶者、各子について、氏名、生年月日、続柄などの必要事項を記載し、申出人となる相続人には「(申出人)」と併記します。具体的な線の配置やレイアウトは、公式記載例を確認しながら作成してください。
ケース2:子のみが相続人の場合
配偶者がいない場合や、配偶者が被相続人より先に死亡している場合など、子どもだけが相続人となるケースです。
配偶者が被相続人より先に死亡している場合についても、法務局から専用の記載例が公開されています。被相続人の配偶者が死亡している場合の公式記載例では、死亡した配偶者について氏名等を記載するのではなく、「妻」など続柄のみを表示する例が示されています。具体的な配置は、法務局の公式記載例を確認しながら作成してください。
ケース3:父母など直系尊属が相続人の場合
子やその代襲者がいない場合には、父母などの直系尊属が相続人となる場合があります。配偶者がいる場合には、配偶者と直系尊属が相続人となります。具体的な配置は家族関係によって異なるため、法務局の公式様式・記載例を確認してください。
6. 兄弟姉妹相続・代襲相続は別記事で詳しく解説
相続人の構成によっては、基本ケースよりも一覧図の構造が複雑になる場合があります。
相続関係が複雑になる場合の考え方
被相続人に子どもがおらず、直系尊属も既に亡くなっている場合は兄弟姉妹が相続人となります。また、本来相続人となるはずだった子や兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合は、その子ども(孫や甥・姪)が代襲相続人となります。
兄弟姉妹相続や代襲相続では、必要となる戸籍の範囲が広がる場合があり、図の分岐も増えます。これらの詳細な書き方や注意点については、後続の記事で詳しく解説します。
7. 作成時に確認したいポイント
一覧図を書き終えたら、法務局へ提出する前に以下の項目を確認します。
戸籍等の記載を確認しながら正確に転記する
一覧図に記載した氏名、生年月日、死亡年月日、住所などが、手元の戸籍謄本や住民票の写し等と一致しているかを確認します。漢字の表記や日付の数字に転記ミスがないか、確認しながら進めることが大切です。
申出人の表示が漏れていないか
法務局の記載例では、相続人の中から申出人となる人物の氏名の横に「(申出人)」と表示する例が示されています。申出書に記載する申出人と一致しているかを確認します。
作成日・作成者の記載が正しいか
図の末尾に、作成年月日、作成者の住所、作成者の氏名が記載されているかを確認します。また、下部約5cmの認証文用の余白が確保されているかも再度見直しておきましょう。
8. 「ゆい」で一覧図の作成を進める
法定相続情報一覧図は手書きや一般的なワープロソフトでも作成可能ですが、A4縦の枠内に収まるよう罫線を引いたり、余白を調整したりする作業には一定の手間がかかります。
「ゆい」では、画面の案内に沿って相続関係を入力し、法定相続情報一覧図の作成を進めることができます。手作業で配置を考える負担を減らし、必要項目を確認しながら一覧図の準備を進めたい場合に役立ちます。
9. まとめ
法定相続情報一覧図の書き方における重要ポイントは以下のとおりです。
- A4縦の用紙を使用する:長期保存できる丈夫な紙を用い、片面のみを使用する
- 下部約5cmを空ける:認証文を付記するための余白を確保する
- 戸籍等の記載に基づいて転記する:被相続人・相続人の情報を正確に記載する
- 相続人の住所は任意:記載する場合は住民票の写し等の提出が必要となり、相続登記等で住所証明の提供を省略できる取扱いがある
- 続柄の表記を確認する:「子」と書くことも可能だが、戸籍に記載される続柄を記載した一覧図は、原則として相続税申告書の添付書類として利用できると案内されている
- 公式の記載例を確認する:法務局が公開している様式と照らし合わせながら作成する
事前の準備と記載ルールを一つずつ確認しながら作成を進めることで、法務局の手続きをスムーズに進めることができます。
作成の手間を軽減したい方は、画面の案内に沿って作成を進められる「ゆい」の活用もぜひご検討ください。
本記事は、法務局が公表している制度要件および記載例に基づいて一般的な作成ルールを解説したものです。個別の相続関係や提出先によって、必要な記載事項や添付書面が異なる場合があります。具体的な手続きに際しては、法務局等の最新情報をご確認ください。